父の豚汁・母の豚汁
今日は久しぶりに父の豚汁が食べたくなったので作ってみた。
父の豚汁は、じゃがいもと玉ねぎと豚バラ肉にお味噌だけ。
母の豚汁は、具沢山で人参やコンニャク、ゴボウなんかも入ってる。
父は普段は料理はしなかったけれど、母が不在の時は、「自分一流の定番料理」を作っていた。
父のカレーは豚汁にSBのカレー粉を溶かしただけのサラサラのやつ。
最初に鍋に豚汁の材料を入れて多めに作って、それを二つの鍋に分けて、「一つは豚汁に、一つはカレーにするんだぞ」と伝授してくれた。
私は作り置き料理や、保存料理が好きではなくて、その日、食べたいものを作ってすぐ食べる。
残り物冷凍とか、リメイクは、好きではないので、なるべくジャストな量で作りたい。(けど、なぜかいつも少しだけ余ってしまうの)
多めに作ってリメイク派の父。
大昔、子供の頃、なぜか、兄と兄の親友と私と父という謎の組み合わせて山小屋へ3~4泊したことがあった。
(普段、あまり子供と遊んでくれず、そんなことをするような父ではなかったのだけど)
その最終日、父の作った、様々な料理と、残ってしまった材料を混ぜ合わせた得体のしれない朝ごはん。
たしか、豚汁にコンソメ野菜スープ、冷や飯とハムなんかを混ぜたやつ、給食の残飯にしか見えない料理を食べなさいと言われて、
絶対に嫌だと断って、お互い譲らず、睨み合いになり、
ちゃぶ台にポツンと、私の分だけ残って置いてあるスープ皿を数十分眺めていた光景が目に浮かぶ。
「一口だけ食べて、嫌だったら残していいから、とにかく一口食べなさい」
と言われて、もうこの場は、私が一口食べる以外、治まることはないのだろうと、しぶしぶ、スプーンでひとすくい…。
そしたら、意外とおいしくて、結局全部食べた…
っていう思い出がある。
あの料理は二度と食べたくないけれど、
山小屋に行くと、父が好きでよく作ってたのが、飯盒炊爨?飯盒炊飯?
これの呼び方、いつも、「はんごうすいさん」なのか「はんごうすいはん」なのか分からなくなっちゃうんだけど。
鉄のおかまに炭火で炊くごはんの香りをかぐと、あの「ごはん」への郷愁のようなものが、瞬時に蘇って来る。
ひとつは豚汁。ひとつは黒焦げ部分が20%を占めるごはん。
あれは時々、食べたくなる。